精神疾患の方が多く通う地域の施設に勤めて約10年、精神保健福祉士の成瀬すずです。
【精神保健福祉士】
みなさん聞いたことありますか?
今日は『精神保健福祉士』がどんな仕事をしているのか、私がしている仕事はなんなのか、お伝えしたいと思います。
多くの精神保健福祉士は『福祉』という名称が入っている通り、国の福祉制度の範囲の中で働いています。
みなさんがお支払いしている税金を受け取って仕事をしているわけですね。
誰もが払っている税金の行き着く先の一つです。
私の体験談の範囲ですが、少しでも多くの方に『精神保健福祉士』という仕事を知ってもらえたら嬉しいです。
【精神保健福祉士】は国家資格であり、社会福祉士や保育士、もっと身近なところだと気象予報士等と並ぶ国が認めた『名称独占資格』です。
英訳では【Psychiatric Social Worker】とされ、私たちはそれを略して【PSW】と呼んでいます。
PSWは英訳だと『精神科ソーシャルワーカー』になるから、実際の日本語とは少し違うみたいなんだけどね〜
それでは、ここでみんな大好きウィキペディアさんの情報を見てみましょう!
精神保健福祉センターや保健所、精神障害者福祉施設などに必置資格に準ずる配置となっている(精神保健福祉法では精神保健福祉センターや保健所に精神保健福祉相談員を置くことができるとされている)。また、精神科病院においては作業療法士と同じく診療報酬業務があり、多くの精神科病院・クリニックで配置されている。
Wikipedia:精神保健福祉士
近年においては、企業のメンタルヘルス問題などを取り扱うEAPや休職している人の職場復帰(リワーク)支援など職業リハビリテーション分野での活動を始め、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に規定される、社会復帰調整官や精神保健参与員としての活躍が認められ、必ずしも精神医療・精神保健福祉分野に限定されない活動が期待されている。
えっと……なんのこっちゃ??
そうなりますよね;;
図解してみると、こんなところで働いていたり、必要とされていたりするってことかな〜!
法律的なところはさておき、【精神保健福祉士】は『精神医療や福祉の分野で必要とされる資格』の一つで、その活動範囲は近年広がりをみせつつある、ということが伝わればOKです!
そもそも精神保健福祉士という国家資格としての歴史はまだ浅くて、1997年に誕生しているんです。
1950年代から医療機関を中心に“精神科ソーシャルワーカー”として、精神疾患をもつ人やその家族が社会生活を送る上での必要な助言指導を行ってきました。
「こころの時代」ともいわれる21世紀に向けて、誕生した『精神保健福祉士』
根底にある目的は変わらずに、医療機関から地域・司法や企業まで広がりを見せているということは、少しずつ「心の病気」「精神疾患」というものが、多くの人に理解され・受け入れてもらえるようになったということでしょうか。
「精神障害」という言葉に対する偏見は、まだまだ根強く感じますが「心の病気」「うつ」や「精神科を受診すること」に対する抵抗感は、随分なくなってきたのではないかなと感じています。
参考 精神保健福祉士について公益社団法人日本精神保健福祉士協会結論からいうと、精神保健福祉士とカウンセラーは違います。
しかし、カウンセラーとしての能力も求められます。
カウンセリングに必要な面接スキルを使いつつ「精神疾患」「精神障害」により生きづらさを感じている人が、社会生活を送りやすくするために役立つ知識を備え、生きる選択肢の幅を広げるためのお手伝いをします。
カウンセラーっていう言葉は、基本的に誰が名乗ってもいいものなんだよ。
悩みがある・相談がある人の話を聞いて、それにこたえる・持っている知識や技術でより良い方向を一緒に見つけることができたら、誰でもカウンセラーなんだ!
カウンセラーという名前のつく資格もたくさん出ていますが、名乗るだけなら誰でもできるのです。
そこが『名称独占資格』であるかどうかの一番の違いなのかもしれません。
しかし、カウンセラーの技術を学びたい時には、精神保健福祉士以外にも様々な民間資格が存在します。
その代表とも言われるものが【臨床心理士】です。
臨床心理士(りんしょうしんりし、英: Clinical Psychologist/Certified Clinical Psychologist)とは、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格、およびその有資格者のことである[1]。活動領域に応じて学校臨床心理士、病院臨床心理士、産業臨床心理士などとも呼ばれる[2]。
Wikipedia:臨床心理士
臨床心理士は、民間資格でありながら、現在の日本において『心理士』としては最も信頼された資格の一つです。
そして、医療機関などで行われるカウンセリング業務の多くは、臨床心理士さんが行なっているものと考えていいと思います。
臨床心理士資格は、知名度・取得難易度ともに最も高いものとされ[6][7][8]、文部科学省の任用規程により全国のスクールカウンセラー(学校カウンセラー)の資格要件とされているほか[9][10]、国境なき医師団日本支部においてメディカルスタッフの資格要件として掲げられているなど[11]、医師職において医学系学会が認定する臨床専門医資格や看護職において日本看護協会が認定する専門看護師資格などの各業界内民間資格と同様の心理職業界内専門認定資格ながら、公的にも活用されている資格である[12][13]。
将来的に、臨床心理士が今までいた分野には、2017年に法律が施行された『公認心理師』と呼ばれる新たな国家資格者が参入していくのではないでしょうか?
それでも「臨床心理士」っていう存在やその歴史が損なわれるものでもないとは思っているよ〜
精神保健福祉士として働く分野は、以下の通り多岐に渡りますが、私は地域で社会生活を送るために必要なお手伝いを主な仕事としています。
- 精神科病院
- 精神障害者福祉施設
- 精神保健福祉センター
- 保健所
- 職業リハビリテーション
- 更生保護施設…etc
私が働いているのは、この中だと『精神障害者福祉施設』に当たりますね。
精神障害者福祉施設といっても、様々あるのですが、私はいわゆる『作業所』と呼ばれる、精神疾患を抱えた方が軽作業や自主製品の販売などを通して、より良い生活を送るための通所施設で働いています。
私たちが提供・考える仕事をやってもらい、わずかながら「工賃」と呼ばれるお給料をお渡ししてます。
通う施設という意味では、高齢者の方が通う『デイサービス』なんかだと、イメージがしやすいでしょうか?
もしくは、障害者が販売している『パン屋』さんとか、見たことありませんか?
そういった事業所の中には、私が働く事業所と同じ『就労継続支援B型』と呼ばれる施設があるかもしれません。
精神障害者福祉施設には本当にいろんなものがあるんだよ〜
- 最低賃金が保証される「就労継続支援A型」
- 一人暮らしを支える「グループホーム」
- 地域の居場所「地域活動支援センター」
- 就労とその準備を一緒に「就労移行支援」
などなど…
他にもたくさんあるよ!
精神保健福祉士は、医療機関や保健所など様々な場所で働くことができます。
その中でも、私が地域で働き続ける理由は、一つ。
精神疾患を抱えた方の生活に、より深く関われると感じるから。
通所施設なので、多くの利用者さんと、少なくとも週に1回は顔をあわせることができます。
それも、ほとんど1日中。一緒に仕事をして、お昼を食べ、時には行事などで外出しながら、たくさんの時間を一緒に過ごすことができます。
医療機関の中にも『デイケア』と呼ばれる通所型のリハビリテーション施設はあります。
とても似ているけれど、より医療から自立した状態で暮らしに密着しているところが、地域にある施設の良いところです。
顔と顔が繋がる。よりその人のことがわかる。密な関わりが要求されているなと常々感じています。
私の尊敬する看護師は、なぜ精神科リハビリテーションを選んだのか聞いた時に、こんなことを言っていました。
精神科はね、看護師が自分から主体的に働きかけて、それで患者さんをよくすることができる、唯一の科なのよ。
精神疾患は、『病気』でありながら、内科や外科での疾患とは違って、周りに関わる誰もが『病気をよくするための助けとなれるかもしれない』のだと、改めて気づかされました。
私をはじめとした精神保健福祉士はみんな『精神疾患があっても生きられる社会、生きづらさが少しでもなくなって、この病気が理解され、もっともっと世の中に受け入れられること』を少なからず願っています。
少なくとも私は、そう願っています。
なので、もし、現状が、一人ではどうにもならず悩んでいる。
自分の希望と合いそうな施設があることはわかったけれど、利用するか迷っている人には、ぜひこの願いを伝えたいです。
私たち精神保健福祉士も人間で個性があるので、どんな方が相手でも求める完璧な支援・お手伝いができるかと問われると、それは無理です。
ですが、少しでも力になれるように努力することはできます。
精神保健福祉士をはじめとした支援者は、誰でもそう願っているはずです。
あなたの生活が少しでもよくなるお手伝いができますように、これからも努力し続けます。
この資格を取ることを考えています。
興味深く読ませていただきました。
一つ質問なんですが、精神保健福祉士ってお給料はどうなんですか…?ネットでは厳しい意見をよく目にします。
個人的な部分の質問ですみません
ご質問のコメントありがとうございます。読んでいただき、とても嬉しいです。
お給料に関してですが、施設によるところが大きいです。私は都内に勤めていますが、株式会社と社会福祉法人・NPO法人や医療機関でも違うでしょうし、入ってきた収益をどう職員の給与に分配するかは上の人たち次第です。(当たり前ですが)
私の勤めているところは、基本給はお世辞にも良いとは言えません。初任給の手取りが生活保護より安いってよく言っています。
でもその分ボーナスや臨時賞与が多いです。都内の他の施設の人ともよく話しますが、基本給がいいところもあるにはあります。
また、都内では給与改善のために「処遇改善手当」というものも支給されたりしてます。(ただし、この配分もそれぞれの施設次第ですが)
回答になっているでしょうか?^^;
何か気になることがあればいつでも聞いてください!