巷で話題の自然派育児、皆さんは自然派育児に対してどのようなイメージをお持ちですか?
先日Twitterで『仲良くしてたママが自然派だと判明。ワクチン受けてないらしい、遊ばせたくない』『自然派ママ、幼稚園に入園拒否されて怒ってる。幼稚園としても集団感染の危険とかあるし当たり前じゃん』など様々なご意見を拝見しました。
では、その入口はどこにあるのでしょうか?
私なりに分析してみました!
極端にいえば、人工物や人の助けを徹底的に避け、なすがまま身を任せるということだと思っています。(あくまで私見です)
人工物や人の手助け、特に西洋医療の中にいることを悪とし、人が持つ本来の力や自然の力を借りて、昔からそうであったように生きるということです。
人工物は、自然のものを無理やり作り変えているので、害のあるものへ変化してしまう。
西洋医療は人の本来の機能を無視して、人工物を投与したりしている。お金稼ぎのために、本来必要のない治療を受けさせられる。
だから自然派がいい。
こういった内容を、もっと優しく、丁寧に、それっぽく説明されます。
でも人工物や医療を避けて通るのは難しいので、通常は無視して通り過ぎていく情報です。
自然派育児の大きな入口は、何より妊娠を考えることにあります。
考えるだけで、そこはもう自然派育児の領域です。
- 妊娠に必要な栄養素→自然由来の自然な製法→サプリじゃダメ!グリーンスムージー
- 体を冷やさない→砂糖はNG、漂白されてる
- 子宮力を高める→ヨガ、よもぎ蒸し、布ナプキン
- デトックスや身体機能の改善→妊娠するという鍼や整体
- 体の歪みをとる!
上記にあげることは、決してそれだけでは悪いことではありません。こだわって突き詰めたところで誰の迷惑になるものでもないですし、実践することで妊娠する準備ができているという自信や安心からストレスが減り、実質しやすくなる、という効果はあるかもしれません。
しかしながら、これらの事柄を行えば必ず妊娠できるということではなく、あくまで『〜して妊娠出来ました!』という言葉は、その人自身の結果論です。
誰にでも当てはまる、テストの正解とは違うのです。
ですが、自然派育児への最初の出会いは、ここではありません。
自然派育児の本当の最初の入口は美容かもしれない
私は、自然派育児の入り口は【オーガニックがより良い】という考えにあると思っています。
オーガニックと自然派(ナチュラル)の間には違いがあり、自然派の中でもオーガニックよりから徹底的なナチュラリストまでいらっしゃるようですが、ここでは同義として扱わせていただきます。
オーガニックが良いのでは、と意識するきっかけ、女性にとっては『美容』が最初の入り口ではありませんか?
食事を気にするのも、『美容にいいから』とオーガニックやスーパーフードを気にし始めるのではないでしょうか。
私も、気になっている時期がありましたが、美容師さんにこんなことを言われました。
『オーガニックが良いように言われているけど、あんなの食事から何から何まで全部オーガニックにしないと意味ないよ。そもそも空気にだって化学物質は多少なりとも含まれてるし、例えばシャンプーをオーガニックにしても、体に入るもの触れるものから全部をオーガニックにしないと、汚れとれないし、オーガニックだけで生活するなんて無理だからね』
現代で生きるなら、秘境の奥地にでも行って自給自足しないと無理? いやむしろ宇宙に行かないと無理かもしれません。納得です。
オーガニックそのものの価値は否定しません。ですが必要なものを見極めず、全てを受け入れない反ワクチン・反医療・反人工物が語る自然派は疑問です。
妊娠したい時期や希望を考え、不妊治療までは行かなくとも妊活する方も少なくないでしょう。
そんな方が、『1.に挙げたようなことを実践したら妊娠した!』となると、自然派育児の門は大きく開かれます。
妊娠という現象は、自分の体調から始まり、見えない我が子が元気であるか、健康か、育児ができるのか、仕事は?……変化と不安を、休む間も無く、280日間もたらします。
そんな中で、1つの成功事例を手にすると、『きっと次も上手くいくだろう』と信じ込んでしまうのが、人間です。一度の儲けで辞められなくなるギャンブルと似ているかもしれません。
『赤ちゃんのため』
この世に、これほど重大で、重責な言葉があるでしょうか。
妊娠中の女性にとって、とてもセンシティブで、避けがたいキーワードです。だって、もう赤ちゃんはそのお腹の中にいるのですから。
そんな女性を救うキーワードが『自然派育児』『オーガニック』なのです。
だって、1つでも、1%でも、心配は残したくないでしょう? でも、その効果に根拠はないことがほとんどです。
ちなみに、よく赤ちゃんの洋服で『オーガニックコットンだから肌に優しい』と思わせるような宣伝がありますが、実際に普通のコットンと比べて、肌への優しさで違いはないとの情報もあります。
オーガニックコットンの本質は、環境改善にあるのではないかと思われます。
最近、妊婦加算について取りやめになるなどニュースになっていますが、妊娠中に体調を崩して受診すると、診察を断られたり、薬を飲めなかったり……
ただでさえ不安の中心にいるのに、医師にまで匙を投げられると、ますます出口の見えないトンネルをさまよってしまいます。
そんな中で、検索魔になっていると、自然派育児がこう囁きます。
『自然なものだから、妊娠中でも安心ですよ』
しかし、そんなことはないのです。一部効果のあるものもあるかもしれませんが、自然なものの中にも、毒はあります。
ハーブといえば『ナチュラルなもの』というイメージですが、中には堕胎作用を持っているハーブもあるのです。
そもそも、私たちの暮らしは、生きやすく安心して子孫を増やしていくために、自然なものを人の手で守り、育て、時に改良しながら作ってきたものです。
医師でさえ、妊娠中はより慎重にならねば薬の投与も憚られるのに、「自然だから害が無い」ことが真実であるならば、医師たちは「妊婦に与えて良い」ものとして、自然なものを処方してくれるはずです。
人工物を否定するということは、人間が今まで子孫繁栄してきた過程を全否定することでもあると思います。
ここまで、自然派育児の入口と、なぜそこにはまっていってしまうのか考察して書いてきました。
自然派育児の入口は、妊娠するよりはるか前、『美容意識』の高まりからくるものと考えます。
そうして、私たちの生活の中に自然と浸透し、妊娠という、より不安で懐の緩みやすい時を狙って、自然派育児は忍び寄ってきて囁くのです。
しかしながら、人間の子孫繁栄の歴史は「人工的な手を加える」ことで他の生物にはない発展を遂げてきたものであり、自然派育児もまた人工的に発達してきたからこそ産まれた、根拠のない産物であるのです。
そして、私は、人の本来の力に任せるということの中には、「人工的に作り上げたもの」も含まれて良いと思うのです。
自然派育児の中にも人工物があり、自然派育児ではない普通の生活を送る人の中にも自然があるのではないか、と私は思うのです。