2016年の妊娠時に稽留流産になり、術後の検査で『胞状奇胎の可能性がある』と、サラリと言われました。
結果的に、私は胞状奇胎の疑いがあっただけで、おおごとにならず、1度の手術とその後の通院・服薬で、手術から3ヶ月後に妊娠許可がおりました。
(通常は、手術して検査・1回目の生理を経て許可がおりたという体験談を多く耳にしました)
調べてもあんまり情報がなくて……
胞状奇胎かどうかの微妙なラインの人って、実際の胞状奇胎の人よりたくさんいると思うんだけどなぁ
今回は、流産手術体験談と胞状奇胎の疑いがあったことについての体験談をまとめます。
情報が少なく不安な時間を過ごしましたが、きっと大丈夫ですよ…!
心拍確認できたのに?流産宣告されたらしてほしい5つのこと私は妊娠13週のときに掻爬手術をしました。
流産(中絶)の処置手術どうする?安全な方法でやりたい!胎児の大きさは7週程度、最後に心拍をした時と変わらないような、少し小さくなっているような大きさでした。
手術は稽留流産が判明してから1週間以内に行いました。
私の場合は日帰り手術で、当日はこのような流れでした。
21:00(前日) | 飲食禁止 |
8:00(手術当日) | 病院到着 着替え・点滴 |
9:30 | 処置室へ移動 1度目の麻酔・子宮を広げる器具の装着 |
10:00 | 病室に戻る(はっきり目が覚めてはいない) |
お昼頃 | 点滴(子宮収縮剤)が効きはじめ、痛みに苦しむ 麻酔が残っているため、半分以上は眠って過ごす |
14:00 | 2度目の処置室 掻爬手術(30分程度) |
14:30 | 病室に戻る 1度目よりは意識はっきりしている |
16:00 | 終了、帰宅 |
術後は、胎児の大きさこそ違えど出産したのと同じなので、少なくとも1週間は無理をしないようにと言われました。
子宮収縮剤というのは、いわゆる陣痛促進剤と同じです。私の体感では、流産処置前の薬(ラミナリア)の痛みは、陣痛が始まって子宮口が4cmくらいの痛みと同じくらいでした。(わかりにくい)
つまり、普通の出産と子供の大きさは違っても、痛みは同じものがあるってこと!
不安と痛みで過ごすので、付き添いがあって私はとても安心しました。夫婦二人のこととして受け止めてくれていると思えました。
掻爬手術をしてから3日後に診察でした。
その時は簡単に術後の子宮内を確認し、終了。病理検査の結果は1週間しないと出ないとのことで、それから1週間後再び診察でした。
まず、HCGホルモンの検査のため、尿検査をしました。いわゆる妊娠検査薬を使うのです。これが、胞状奇胎かどうか診断するための指標の一つです。
通常は、術後に反応が出ることはありません。当然です。胎児や妊娠した組織は取り出しているので、HCGホルモンが生成される組織が身体から出ているはずなのです。
しかし、私ははっきりと陽性反応が出ました。
病理検査の結果では、どういった結果が標準なのかわかりませんが、私の場合は『HCGホルモンのフォローアップが必要』と書いてありました。
胞状奇胎はごく稀(0.2〜0.6%)です。流産は、手術が完了すればあとは何も心配がいらない、という訳でもないのだなと見に沁みて思いました
胞状奇胎は、いわゆる異常妊娠のひとつと認識しています。『ぶどう子』と呼ばれることもあります。簡単に、私の理解している範囲で説明しますね。
妊娠するには、受精卵が必要です。
受精が成功すると、卵はHCGホルモンを出しながら、胎盤の元となる組織を作り、子宮内にくっつく(?)のですが、胞状奇胎は卵子の異常もしくは精子が2つ入ってしまった等により、通常より早いスピードでHCGホルモンが放出され、胎盤予定の組織が異常に増殖し、やがては胎児をのみ込んでしまいます。
その増殖した細胞が粒状で、ぶどうに似ていることから『ぶどう子』とも呼ばれています。
そうすると何が起こるかというと、胎児は流産になり、手術等で取り除いても、増殖した細胞が残っていると、増殖を続け、侵入奇胎(子宮の筋肉の中に胞状奇胎の細胞が侵入増殖)となり、やがては絨毛癌につながる恐れがあります。
HCGホルモンの値を見ればすぐにわかるので、経過観察として毎回ホルモン測定を行ってみていきます。
治療は手術にて原因となる組織を取り除くことが第一で、その後経過観察をし、改善されなければ化学療法、いわゆる抗ガン剤を使用します。
早くて2ヶ月、長いと半年〜1年程度の治療と経過観察を必要としますが、その後の妊娠は可能です。
私の場合は、『胞状奇胎の疑いがある』ということで、結果としては診断には至りませんでしたが、妊娠許可が下りるまで手術から3ヶ月かかりました。
子宮の様子から、胞状奇胎の可能性もあるが、手術で取り切れなかった血の塊と思われるものが残っている、との判断でした。
私の治療経過はこのような感じでした。
- 子宮収縮剤の服薬1週間
- →出血はほとんどなかった、ホルモン値は下がるが反応あり
- 中用量ピルを1ヶ月前後飲み、子宮内膜を厚くさせ、強制的に生理で通常より多めの出血が起こるようにする
- 1ヶ月半後、生理開始。ドロリとした塊が出る
- 1ヶ月後に通常生理。受診しホルモン反応出ず、妊娠許可下りる
結果としては私は胞状奇胎ではなかったのですが、はっきりとするまで約3ヶ月かかりました。
何度調べても、『胞状奇胎でも、治療すれば治る。その後の妊娠に影響はない』と出てくるのですが、はっきりと『大丈夫、もういつ妊娠してもいいよ』と言われるまで不安はつきませんでした。
ただでさえ流産しちゃってるから、もう2度と妊娠できなかったら子供を持てない人生なのかとか、ついついネガティブなことばっかり考えちゃってたんだよね
妊娠されたパートナーをもつ男性へ。
妊娠をどんな方法で知りましたか? 妊娠検査薬でしょうか。現在市販されている検査薬では、はっきり陽性反応が出ていればまず間違いなく妊娠しています。
新しい命を待ち遠しく、楽しみに思っていらっしゃいますか?
それとも、不安でおろして欲しいと思っているのでしょうか。
何れにせよ、あなたのパートナーは15%の確率で、胎児の死を体験します。
中絶を選ぶ方、流産してしまったパートナーをお持ちの方、そのために行う処置は、あなたの大切なパートナーの心と体を傷つけます。
どうか、関心を持って、正しい情報を知ってください。
流産の悲しみは同じようにあなたにもあるでしょうが、悲しみを抱えた上でリスクを持つのは、あなたのパートナーです。
パートナーが受診するときは、診察室の中まで入れなくとも付き添いをしたり、関心を持った態度で接してください。あなたの態度で、大切な女性は、辛い言葉を呑み込み、一人悲しませてしまうかもしれません。
たくさん調べて不安になるパートナーを、どうか否定しないで受け止めてあげてください。
もし、手術を行うのであれば、出来るだけ付き添いましょう。私たちも、手術日は夫婦で臨みました。
日帰りの手術でしたが、やはり麻酔をかけて行う『手術』のワードへの不安感は強いと思います。
手術後は『無理をせず、すぐに帰る』『できれば横になって過ごす』ようにと指示を受けました。
出産は交通事故と同程度のダメージがあるといいます。
流産の処置も、いわゆる出産時と同じ工程がいくつもあります。精神的負荷も大きいので、少なくとも1週間は無理をせず過ごせるようにパートナーと協力しあえるといいですね。
私たちが形の残らない我が子にしたこと
私たちは、気持ちの整理も兼ねて、水子供養を行いました。
有名なところだと、他にもたくさんの供養されたお友達がいるので、寂しくないかなとも考えたのですが、最終的には自宅近辺の場所に決めました。
出産予定日、手術をした日などにお花やぬいぐるみ、簡単なベビー用品をつくって持って会いにいっています。
説法と言うのでしょうか、今でも記憶に残り、あの時の私たちの悲しみに確かに寄り添ってくれました。
会うことはかないませんでしたが、汚れた世に出てくると生きられないほど、清い魂を持った子供であったといいます。今でも私たち夫婦の大切な子供です。
流産の悲しみと向き合う6つの方法流産の手術と胞状奇胎について書いてきました。
胞状奇胎の中には絨毛癌に発展してしまう場合があり、『ガン』というインパクトのあるキーワードに気圧されてしまいますが、きちんと受診し治療を続ければ完治し、次の妊娠も可能です。
信頼できる医師と、適切な治療を受けましょう!
そして妊娠は流産だけでなく、無事に生まれるまで様々な不安がかわるがわるやってきます。
それだけ身体の変化や負担が大きく、簡単で単純な現象ではないのです。
女性は言わずもがな、関心を持って調べることに熱中してしまいがちで、そのスピードについてこれない男性がほとんどかと思いますが、ここで気持ちを釣り合わせておくだけで、夫婦の絆はより深まり、新しい『育児』という20年弱をかけた人生の一大プロジェクトへ臨む準備ができます。
生まれてくる命も、生まれなかった命も、ご夫婦の中で大切に育まれていきますように、願っています。